おひとりさま相談室

生前贈与を受けた人がいる場合の相続財産の分割はどうするの?2016-10-17

生前贈与を受けた人がいる場合の相続財産の分割について教えて下さい。というご質問をいただきました。

医学部に行くのに学費を出してもらった、事業を興すのに支援してもらった等、特に被相続人から相続人が受けた利益のことを特別受益といいます。

これは相続人間の不公平を是正する制度で、特別受益の分を相続財産に加えて(持ち戻しといいます。)遺産分割を行います。

例えば、被相続人の死亡時の財産が1200万円で、被相続人の子供Aに600万円の生前贈与がなされていたとします。

相続人は、妻Wと子供ABCです。この場合、相続財産は1200万円に生前贈与分の600万円を加えた1800万円と考えます。

したがって、妻Wは900万円、子ABCは各300万円となります。

しかし、Aは600万円をすでにもらっているので、-300万円となりますがAはマイナス分を支払う必要はありません。

この場合、妻Wは900万÷1500万(900万+300万+300万+300万-600万)=5分の3、子B,Cは、300万÷1500万=5分の2が相続分の分配割合になります。

もちろん、Aは0です。

最後に、実際に分配可能な遺産価格1200万円をこの割合に従って分配するので、妻Wは、720万円、子B,Cは、各240万円相続することになります。

被相続人に多額の借金があった場合の債務の相続はどうなる?2016-10-17

「相続したことを知ってから3か月が過ぎたところ、被相続人の債権者から多額の請求を受けて、被相続人が多額の借金を負っていたことを知りました。この債務は相続されているので払わなくてはいけないのか。」といったご相談をいただきました。

亡くなった方に債務がある場合の相続は非常に注意を要します。

相続放棄や限定承認手続をしないまま、自分が相続人となったことを知ってから3か月(これを熟慮期間と言います。)を経過すると相続を承認したことになるのが原則です。

しかし、3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産(特に債務と考えるべきでしょう)が全く存在しないと信じたためで、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において、右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、熟慮期間は相続人が、相続財産の全部又は一部の存在を認識した時、又は通常これを認識しうるべき時から起算すべきものと解するのが相当であるとする判例があります。

相続財産の調査は、不動産、預金通帳等を手掛かりにして進めますが、負債が存在しそうな場合には信用情報センター等に登録の有無を確認した方がよいと考えます。

但し、信用情報センターは銀行等金融機関や消費者金融等の情報しか判明しないため、個人的な貸借まではわかりません。

前記判例にもとづいても、債務があることがわかったときから3か月以内に手続きをしないと相続放棄が認められません。

判明した時点で専門家にご相談されることを強くお勧めします。

被相続人に他の子が一人いた場合、養子である孫の相続割合は?2016-10-17

「被相続人は、孫を養子にしていました。被相続人が亡くなった時点で、子(孫の親)は死亡していました。孫は、養子としての相続分と孫としての代襲相続分の両方を相続するのでしょうか。」というご相談をいただきました。

両方相続します。
例えば、被相続人に他の子が一人いた場合、養子である孫は、養子として3分の1、孫としての代襲相続分として3分の1、合計3分の2を相続します。

おなかにいる子供(胎児)に相続権はあるのか?2016-10-17

おなかにいる子供(胎児)に相続権はあるのでしょうか。というご相談をいただきました。

胎児は、相続人になります(886条1項)。
ただし、死産だった場合は相続しません。(886条2項)

養子縁組の相続。養子の子供の相続権はどのようになるの?2016-10-17

養子は既に亡くなっているのですが、その養子には子供がいます。養子の子供の相続権はどのようになるのでしょうか。というご相談をいただきました。

養子縁組をした後に生まれた子供には相続権がありますが、養子縁組前に生まれた子供には相続権がありません。

もし、養子縁組前の子供にも相続させたい場合には、遺言を残す必要があります。

(養子の子供を養子にする方法もありますが、相続割合に注意する必要があります)

相続の排除が認められるケースとは?代襲相続はどうなるの?2016-10-17

自分を虐待したり侮辱する者に相続させたくありません。相続の排除について教えて下さい。といったご相談をいただきました。

このような相談をたまに受けることがあります。お気持ちはよくわかります。

相続の排除とは、家庭裁判所の審判または調停によって推定相続人(つまり、相続発生時に相続人になるであろう人)の相続権をあらかじめ奪う制度です。

これが認められるには、被相続人に対して、虐待や重大な侮辱をしたり、著しい非行があったことが必要です。

虐待や重大な侮辱、著しい非行があったことを証明しなければならず、弁護士にご相談されることをお勧めします。

また、一時の激情に出たに過ぎない場合や相続人がその行為を誘発した場合などは、認められない場合があります。

なお、排除がなされても代襲相続は生じます。虐待したり侮辱する者の子供には相続権が残ります。

相続放棄があった場合、相続人の子供は相続権を失うのでしょうか?2016-10-17

相続人に相続欠格や相続放棄があった場合、相続人の子供は相続権を失うのでしょうか?というご相談をいただきました。

この代襲相続は、被相続人の子供や兄弟姉妹が死亡した場合だけでなく、相続欠格や廃除により相続権を失った場合も含まれます。

ただし、相続放棄の場合は、代襲相続は発生しません。

相続放棄は、被相続人の財産よりも負債が多い場合に用いられる制度であり、代襲相続が発生すると、孫、ひ孫の代まで負債が残ることとなり、相続放棄の制度の趣旨は失われるためであると考えられます。

相続欠格とは何なのか?遺産がもらえなくなるケースとは?2016-10-17

相続欠格について教えて下さいとうご相談をいただきましたので、シェアさせていただきます。

相続欠格とは、ある一定の事由が生じたとき相続資格を失うという制度です。

民法891条は、
1 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
⇒故意が必要というところがポイントです。これは、殺人の故意ですので、殺人や殺人未遂の場合は該当しますが、傷害致死の場合は該当しません。

2 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

3 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
⇒ただし、偽造、変造、破棄、隠匿したからといって、自分に有利になるように行ったのではない場合は、ただちに欠格事由にあたるとは限りません。

例えば、遺言書に押印等が欠けていた場合に、法形式を整える趣旨で、これを補充した場合や、自己に有利な遺言書を破棄隠匿した場合、遺産分割協議が成立するまで他の相続人に遺言書の存在を告げなかった場合などにおいて、欠格事由に該当しないとされた判例があります。

少しでも多く遺産を手にしようと悪いことをすると、何ももらえなくなるというように整理して頂けたらと思います。

代襲相続は兄弟姉妹にも適用されるのか?相続分配はどうなる?2016-10-17

相続人である子供や兄弟姉妹が既に亡くなっているのですが、その子供がいます。相続はどうなるのでしょうか?

子供が既に亡くなっていて、その子供に子供(つまり孫)がいる場合は、その子供が相続する分を、その孫の数に応じて分けることになります(代襲相続と言います)

例えば、亡くなった子供が2分の1の相続分をもっていて、亡くなった子供には3人の子供がいる場合、2分の1の相続分を3人で分けるので、6分の1となります。

なお、亡くなった子供の子供(孫)がさらに亡くなっている場合で、さらに子供(つまりひ孫)がいれば、その子供達が亡くなった子供(ひ孫の親、つまり孫)の相続分をそれぞれ分けて相続します。

このルールは、ずっと続いていきます。

代襲相続は、兄弟姉妹にも適用されます。
ただし、一代限り、つまり兄弟姉妹の子供(甥、姪)までで、兄弟姉妹の孫は相続しません。

兄弟姉妹の場合、孫の代まで行くと、相続人の家族とのつきあいも希薄になっていくので、相続させる必要もなく、却って問題が多くなるおそれがあるからです。

非嫡出子の相続ってどうなるの?遺言書は有効になるの?2016-10-17

以前は、子供の中に非嫡出子(法律上の婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子)がいる場合は、嫡出子(法律上の婚姻関係にある夫婦の間に産まれた子)の半分という規定がありましたが、平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。

従って、被相続人の子供には平等に相続権があります。

被相続人が亡くなられた後で相続手続きを進めている最中、「非嫡出子」の存在が発覚することもあります。

急に出てきた法定相続人に、遺産を渡したくない人もいるのではないでしょうか。

その争いを避けるためには、被相続人が亡くなる前に「遺言書」を書き残してもらうのが一つの方法です。

遺産の分割の方法を指定していれば、余計な話し合いをする必要はなくなります。

対応エリア
埼玉エリア

【埼玉県】
熊谷市、深谷市、本庄市、東松山市、行田市、羽生市、美里町、小川町、嵐山町、滑川町、吉見町を中心に、埼玉県すべての市町村が対応エリアとなります。

【群馬県】
太田市・伊勢崎市・館林市、大泉町、邑楽町、明和町

その他の地域の方は、出張費が別途かかる場合がございますので、まずはご相談ください。

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