現状の法律では、お元気な間からお亡くなりになられた後までを、一括してお世話できる制度はありません。従って、いくつかの制度を組み合わせていくことになります。
お客様の状況に応じて、どの制度を使っていくのか、また誰がその手続きを行うのかをご相談しながら検討していきます。
定期的に訪問して生活状況を伺います。
お元気な間は、突然の急病・事故等に備える他、詐欺等の事件に巻き込まれることのないよう、定期的に訪問して生活状況を伺います。
状況によっては、警備保障会社の「みまもりサポートサービス」に加入して頂くことをおすすめしています。
警備保障会社からのお客様の日々の生活に関する情報を当事務所が把握し、訪問の頻度を多くする、成年後見手続き等を採用していく等の対応を行います。
定期訪問においては、財産や法律に関するご相談も伺って、適切な方法をお客様とともに考えていきます。
場合によっては、当職が立ち会って業者の方等のお話を伺います。
御家族に代わって死後の手続きを行います。
亡くなられた後には、以下のような手続きが必要になります。
1.葬儀・納骨
2.役所への手続き
3.病院等への未払金精算
4.遺品の整理・住居からの退去手続き 等
このような手続きはご家族がされていることがほとんどですが、おひとりさまの場合には、誰がこの手続きを行うのかが問題となります。
また遺言執行では、財産の処分等は行うことができますが、上記のような事務手続きまではカバーできません。
遺言書の付言事項(あとがき)に記載しておけばよい、と考える方もいらっしゃいますが、遺言書は通常お客様の葬儀等が終了してから開披することが多く、また付言事項には法的効果はないため、実現される可能性は低いと思われます。
またエンディングノート自体にも、法的効果はないため、トラブル防止の観点から、原則として公正証書を作成し、詳細な部分をエンディングノートで補完していきます。
おひとりさまの相続では、当事務所がお客様から委任を受け、御家族に代わって死後の手続きを行います。
(本来民法上、委任は死亡により終了するのですが(民法653条1号)、当事者の契約で委任者の死亡によっても契約を終了させない、という合意をすることもできます。この合意を公正証書にすることで確実なものとし、死後事務委任契約に記載された事務を実行していきます。)
具体的な手続きは以下のとおりです。
手続き名称 | 手続き内容 | 報酬額の目安 |
役所への死亡届の提出、戸籍関係の諸手続き | 市町村役場に死亡届を提出し、埋火葬許可証を受領します。 印鑑登録証、運転免許証などの返納手続きを行います。 |
30,000円 |
健康保険、公的年金等の資格抹消手続き | 役所に出向き、国民健康保険や介護保険等の資格抹消手続き、および国民年金や厚生年金等の資格抹消手続きを行います。 ※お仕事をされていない方または自営業者の方に限ります。 |
50,000円 |
勤務先企業等の退職手続き | 勤務先企業等と連絡をとり、退職手続きや未払い賃金の受領、健康保険や厚生年金等の資格抹消手続き、所得税の年末調整手続きを行います。 | 80,000円 |
病院・医療施設の退院、退所手続き | 担当医から死亡届提出のために必要な死亡診断書を受領します。 葬儀社と連絡をとり、ご遺体をお引き取りする手配を整えたのち、病室の整理や入院費等の精算手続きを行います。 |
50,000円 |
葬儀・火葬に関する手続き | 生前に予約された方法で、葬儀および火葬を行います。 会葬者や関係者に連絡をとり、葬儀の主宰(喪主)を務めます。 |
葬儀の規模によります。 |
埋骨に関する手続き | 火葬後のご遺骨を、生前にご希望のあった墓地・納骨堂への埋葬を行います。 お客様の死亡後、無縁墓になってしまうご先祖のお墓の墓じまいを行います。 |
50,000円 墓じまいの場合は別途見積り致します。 |
住居引き渡しまでの管理 | 家主さんや管理人、不動産会社と調整し、お住まいの片づけや売却手続きが完了し、引き渡しまでの管理を行います。 ダイレクトメール等の発送停止手続きを行います。 |
70,000円 |
住居内の遺品整理 | 遺品整理士に依頼して、住居内の遺品の撤去を行います。 貴重品は遺産として選別、保管し、形見分けのご希望があれば、ご指定の方へ引き渡します。 パソコンや携帯電話、デジタルカメラ等はハードディスク、記録メディア等を破砕して処分します。 |
30,000円 |
公共サービス等の解約・精算手続き | 電気・ガス・水道のほか、電話や新聞、インターネットプロバイダ等の解約および利用料金の精算等の諸手続きを行います。 | 1契約毎に 10,000円 |
住民税や固定資産税の納税手続き | 死亡年度分の住民税および固定資産税の納税通知書を市町村から受領し、納税手続きを行います。 | 1件あたり 25,000円 |
SNS・メールアカウントの削除 | Twitter/facebookなどのSNS、メールアカウント削除およびフォロワーや友達への連絡を行います。 | 1アカウント毎 20,000円 |
遺産分割で争いが起こらないようにするために
「遺言書」と聞いたとき、あなたはどのようなイメージを持たれるでしょうか。
「死」というものを連想するため、何となく後ろ向きなイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。
また、後ろ向きなイメージでなくても、「遺言書は死ぬ間際に書くものだから私には関係がない」と思われる人も多いのではないでしょうか。
「遺言書」は「遺書」と言葉が似ているため、誤解されることが多いようです。
ただし、確実に遺言書は身近なものになってきています。
公正証書により作成された遺言書の数は、平成7 年はおよそ4万6千件だったものが平成26年にはおよそ10万4千件まで増加しています。
終活というものが市民権を得たこと、信託銀行等が遺言信託に力を入れていること等様々な要因が考えられますが、遺産相続をめぐる争いが増加していることがその背景にあるのは間違いないと思います。
なぜ遺産相続争いが急増しているのでしょうか。
まず考えられることは、「権利意識の高まり」です。
世代が若ければ若いほど、「家」よりも「自分」に重きを置いています。
現代の若い世代は、「家」よりも「自分」に意識があります。
「家」を存続させるために「自分」のことを後回しにするという意識は、現代において希薄になってきています。
また、相続財産のなかで不動産の占める割合が高いことも原因と思われます。
不動産は、財産としての金額が高いのに分割が難しいです。
そのため、遺産分割で争いが起きる原因となりやすいのです。
また、そのほかに考えられることとして、昨今の雇用状況や経済状況が挙げられます。
定年まで会社勤めができる保証がなく、先がみえない将来に誰もが不安を感じています。
「もらえる分はもらっておきたい」という考え方はやむを得ないと思います。
右肩上がりの経済成長に伴って給料が上がっていき、定年まで安泰して会社にいられる時代ではなくなったということです。
「おひとりさまの相続」では、公正証書による遺言書の作成を原則としています。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです(民法9 6 9 )。
公証人が作成するので、まず無効にならないことから、この遺言方法は、最も確実であるといえます。
また遺言書について家庭裁判所の検認手続きは必要ありません。そのため、遺言の執行が迅速にできます。
遺言書でできることは以下のとおりです。
内容 | 説明 |
相続させる遺言 | 相続人に対して財産を贈ること |
遺贈 | 相続人を問わずに財産を贈ること。法人にもできる(民法964) |
子供の認知 | 婚姻届出をしていない男女の間に生まれた子供を認知すること(民法781②) |
未成年後見人の指定、およびその未成年後見監督人の指定 | 子供が未成年者のときの後見人の指定(民法839) およびその未成年後見監督人の指定(民法848) |
相続人の廃除・廃除の取り消し | 通常であれば相続人となる人から相続権を剥奪したり(民法893) その取り消しをすること(民法894②) |
相続分の指定 | 相続人ごとに法定相続分と異なる相続分を指定できる。 また、その指定することを第三者に委託すること(民法902) |
遺産分割方法の指定 | 遺産分割の方法の指定や、その指定を第三者に指定して委託すること(民法908) |
遺産分割の禁止 | 5年以内の遺産の全部又は一部の分割を禁止すること(民法908) |
相続人間の担保責任の指定 | 相続人間の担保責任が指定できることなど(民法914) |
遺言執行者の指定 | 遺言執行者の指定、またはその指定を第三者に委託すること(民法1006) |
遺贈の減殺方法の指定 | 減殺請求されたときの減殺方法を指定すること(民法1034) |
特別受益分の修正の免除 | 相続分を計算するときに、遺留分を侵害しない範囲で 特別受益分の修正が免除になること(民法903③) |
一般財団法人の設立 | 一般財団法人を設立する意思を表示すること(一般社団・財団法人法152②) |
信託の設定 | 信託の設定(信託法3二) |
祭祀承継者の指定 | 祭祀承継者の指定(民法897) |
付言事項 | 法的な効力はないが、相続人に思いを残す場合に利用。 相続間同士の争いの回避につながることもありうる。 |
お客様のご希望に応じて、上記に従い、遺言書を作成致します。
寺院や霊園が永代にわたる供養・管理を約束するお墓
永代供養墓とは一般的に、承継者の有無に関係なく、寺院や霊園が永代にわたる供養・管理を約束するお墓のことで、生前にも申込みができるというものです。
寺院が永代供養墓を開設する理由のほとんどは、宗教法人という社会的立場から、お墓の承継者のいない方、あるいは承継で悩む方々に、安心して死後を託してもらえるシステムを提供したいという願いから開設するというものです。
永代供養墓は、死後のこともさることながら、残りの人生を平安に充実して生きることのためにもあるわけです。
お墓の承継者がいなくても、その承継者に代わり、寺院や霊園の責任において永代に供養・管理をしていこうという考え方にもとづいて生まれたものが永代供養墓ですから、おひとりさまの相続をご利用される方には有益な方法であると考えます。
(永代供養墓の形式)
使用者からのさまざまな要望もあり、また永代供養墓に関する情報が行き渡ってきたこともあり、永代供養墓の形式はかなり多様化してきています。
大きく分けて、以下のように区分できます。
1 . 合祀(ごうし)と言われていますが、最初から遺骨を骨壷から出して1 ヵ所にまとめ土に還す(合祀墓と言われています)
2 .ある一定期間(3 3 回忌までが多いように感じます)、納骨壇あるいは棚に骨壷( 木の箱あるいは布袋のお寺もあります)のままお骨を安置、その後合祀する
3 .お骨を分骨し、一部を一定期間あるいは永大に安置し、残
りのお骨は合祀する
永代供養墓の料金は以下のような構成で1 体での一式で料金とされています。
1. 永代供養料= 永代にわたって供養してもらう費用
2. 納骨法要のお布施
3. 刻字料= 墓誌に納骨者名などを彫る費用
永代使用料、永代管理料、納骨料はすべて含まれているのが一般的です。
当事務所では、寺院支援業務を行っており、お客様のご希望にあった永代供養墓をご紹介させて頂きます。
(墓じまいについて)
お墓を継いでくれる方がいない場合には、やむを得ず「墓じまい」をすることになるかと思います。
その手続きは以下のとおりです。
一般的には、生前にこのような手続きを行うよう管理者から依頼されるのですが、「おひとりさまの相続」では、お客様の死後、このような手続きを行うことも可能です。
生前にはいままでと同様に、ご先祖様と触れ合って頂きたいと願っております。
代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するもの
財産管理契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです。
成年後見に似たものですが、成年後見制度は判断能力の減退があった場合に利用できるものである一方、財産管理契約はそのような減退がない場合でも利用できる点に違いがあります。
・判断能力はあるけれども、足腰が弱ってきて銀行に行くのにも苦労する
・オレオレ詐欺等から自分の財産を守りたい
等のご希望の場合に非常に有益なものとなります。
判断能力が徐々に低下してもその前から管理を行い、判断能力がなくなってしまった場合には、任意後見に移行できるようにしておけば万全であると思います。
但し、お元気なうちは自分のお金は自分で管理したいと望まれる方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合には、任意後見のみ、あるいは一部の財産の管理を委任する等の方法を検討していきます。
安心して人生を全うすることができるようにするための制度
2000年4月から、旧制度(禁治産、準禁治産制度)に代わり、成年後見制度がスタートしました。
成年後見人制度は、判断能力の不十分な人 ( 認知症を発症した高齢者等) を保護し、自分自身で財産管理・処分ができなくなっても、安心して人生を全うすることができるようにするための制度です。
成年後見制度には、裁判所の手続により後見人等を選任してもらう法定後見制度 と、当事者間の契約によって後見人を選ぶ 任意後見制度 があります。
このうち任意後見は、まだ判断能力が正常である人、又は衰えた としてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が信頼できる人との間で将来の財産管理等を任せるため利用する制度です。
自分のことは自分で決めると考えておられる方(自己決定の尊重)や、そろそろ「老い仕度」をと考えておられる「終活」をお考えの方にお勧めです。
任意後見契約には次の3 つの利用形態があります。
将来型
将来型の契約は、契約を締結する現時点では自分の判断能力には問題がないものの、将来判断能力が低下したときのことを想定して、判断能力が低下した時点ではじめて任意後見人による保護を受けようとするものです。
移行型
移行型の契約は、現時点では自分の判断能力には問題がないものの、身体的な機能の衰えや病気等を抱えているので日常の財産管理事務に支障があるため、契約締結時から受任者に財産管理等の事務を委託し、将来的に自己の判断能力が低下した後は、公的監督の下で引き続き受任者に後見人として幅広く事務処理を行ってもらうものです。
即効型
即効型の契約は、既に判断能力の衰えがみられ、軽度の認知症( 痴呆) 等の状況にあって、補助や保佐の対象となりうる方にお勧めのものです。
このような方であっても、契約締結時に意思(判断) 能力があれば、自ら選んだ者との間で任意後見契約を締結することができるとされています。
そして、この場合は、契約後直ちに任意後見監督人の選任をしてもらって、すみやかに任意後見人の保護を受けることができます。
任意後見契約のメリット・デメリット
メリット
•本人の意思で信頼できる方を任意後見人、任意後見監督人に選任することができます。
•あらかじめ任意後見契約で要望する事項を定めておくことで、判断能力が減退した場合でも、本人が希望する生活を送ることができます。
•不利益になる契約を締結してしまうリスクがなくなります。
•公的機関が関与します。
【公証役場】
•任意後見契約書は、公証人が公正証書を作成し、公証役場にて原本を保管 します。
【法務局】
•任意後見契約書の内容は登記されるため、任意後見人の地位が公的に証明されます。
【家庭裁判所】
•家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、任意後見契約の効力が発生します。
•家庭裁判所は、任意後見監督人を通して任意後見人を監督(定期的に任意後見人に事務内容の報告請求)するため、任意後見人の代理権濫用を防げます。
デメリット
•任意後見人受任者が同居の親族でないような場合には、本人の診断能力が減退したかどうかの把握が不十分になる可能性があります。
•本人の判断能力が減退したことを知りながら、任意後見監督人の選任申立てを行わない可能性があります。
•本人の判断能力が減退している状態につけ込んで高額な任意後見契約を締結される可能性があります。
•任意後見人と任意後見監督人の報酬として、各々通常月額3万円程度の金銭負担がかかります。
ご自身が健康なうちに葬儀内容や費用などを葬儀会社と相談
ご自身が健康なうちに、ご自身のご葬儀内容や費用などを葬儀会社と相談して決め、予約しておくことを「生前葬儀予約」といいます。
ご自身の希望や意思がご葬儀に反映され、私どもが喪主を務めさせていただくにあたっても重要なシステムです。
葬儀の段階では、お客様の意思を確認することができませんので、綿密な打ち合わせが必要になります。
当事務所と提携する葬儀社に葬儀を依頼致します。
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